今や子供の習い事は当たり前の時代になりました。小学生の9割は習い事をしているといいます。ただ、気になるのはやはりお金のこと。子育て世帯にとって、習い事にかける費用の負担も少なくはありません。
今回は、子供の習い事代の平均や年収に占める割合の目安など、習い事の実態を調査。無理のない範囲でできる習い事の選び方の参考にしてみてくださいね。
子供の習い事代、平均額は?
子どもの年齢が上がるごとに、習い事が増えているという家庭も多いかもしれません。
可能性を広げ、伸ばしてあげるために、子供がやりたいと言えば、やらせてあげたいのが親心。ただ一度始めてしまうと、毎月の固定費として家計にのしかかります。
周りの家庭は、子供の習い事代に平均いくらくらいかけているものなのでしょうか。
習い事代の平均額
「平成30年度 子供の学習費調査」(文部科学省)によると、子供の習い事にかける費用は公立小学生で20万円超。私立小学生では約65万円にもなります。
内訳は以下です。
【子供の学校外活動費】
習い事代:スポーツや芸術系、体験系などの学校以外の活動にかかる費用
塾・家庭教師代:塾や家庭教師など学校以外での学習にかかる費用
単位:円
公立 | 私立 | |||||
合計 | 習い事代 | 塾・家庭教師代 | 合計 | 習い事代 | 塾・家庭教師代 | |
未就学 | 83,895 | 61,331 | 22,564 | 165,658 | 117,429 | 48,229 |
小学校 | 214,451 | 131,982 | 82,469 | 646,889 | 298,504 | 348,385 |
中学校 | 306,491 | 62,902 | 243,589 | 331,264 | 110,918 | 220,346 |
高校 | 176,893 | 29,018 | 147,875 | 250,860 | 56,915 | 193,945 |
小学生の習い事代は、およそ月々約1万円(私立小学校の場合は月々約2.5万円) 。
塾代と併せると、月々約1.8万円です(私立小学校の場合は月々約5.4万円)。
子供ひとり当たりの費用なので、子供がふたりであれば2倍ということになります。
小学生のうちは習い事に、中高生になると塾に費用がかかることがわかります。
子供の習い事の実態
費用以外にも、どんな習い事をいくつ習っているのかも気になりますよね。小学生の主な習い事を見てみましょう。
小学生の約9割は習い事をしている
21世紀出生児縦断調査によると、小学生の約9割は習い事をしていることがわかります。
男の子は、水泳やサッカーといったスポーツ系が多く、英会話や学習塾、通信教材の学習系が続きます。女の子は、水泳とピアノが多く、英会話や学習塾などの学習系が続きます。
【男の子の習い事】
- 水泳
- サッカー
- 学習塾
- 通信教育
- 英会話
- 習字
など
【女の子の習い事】
- 音楽(ピアノなど)
- 水泳
- 通信教育
- 習字
- 英会話
- 学習塾
など
半数以上は複数掛け持ち
民間企業が実施したアンケート調査によると、小学生の習い事の個数は2個以上が6割を超えており、複数掛け持ちしていることがわかります。
2個が低学年で35%、高学年では40%、3個が16%、4つ以上は8%。
4つ以上掛け持ちをしている子が、クラスに2~3人はいるという状況のようです。
習い事は3~4歳頃から
3歳未満では、まだ習い事をしていない子も多いようです。
3歳未満で習い事をしているのは2割以下。3歳で25%、4歳で40%、5歳で65%と、年齢が上がるにつれて習い事をしている子の割合が増えています。
習い事をする子が増える4歳~6歳では、1つだけは半数、2つ掛け持ちが33%、3つ以上が17%と、未就学のうちから掛け持ちするのも珍しくはないようです。
早いうちから習い事を始めると、トータルでかかる習い事代はかさみますよね。
その分貯蓄に回していればと、将来後悔しないために、習い事代にかける費用の目安は決めておきたいものです。
次章からは、習い事代の考え方について解説します。
お金をかけすぎ?目安は?
何気なく始めた習い事も、気づけば家計の負担になってしまうのもよくあること。では、習い事にかける費用はいくらくらいが目安なのでしょうか?
教育費は年収の何割?
日本政策金融公庫の調査によると、世帯年収に占める教育費の割合は平均約16%。
教育費の割合が20%未満の家庭が、半数以上です。
ただ年収があがるほど、教育費が占める割合は低くなります。一概に何%がいいとは言えません。
ただ学校にかかる費用と習い事や塾の費用全体で、年収の15%前後が平均的な範囲と言えるでしょう。家計全体での教育費ですので、子供の人数が多いほど子供1人あたりにかけられる金額は少なくなります。
習い事代の注意点
適切な教育費の割合は、年収の10~15%前後とも言われています。世帯年収600万円であれば、月5万円が目安です。
公立の小中学校に通っているうちは、学校にかかる費用が少ないので余裕があるように思いますよね。
公立小学校にかかる費用(給食費含む)は月1万円前後、中学では月1.5万円前後ですので、子供が2人いてもいくつか習い事をさせられるように思えます。
ただ小中学生のうちに習い事や塾にお金をかけすぎてしまうと、子供の大学費用や自分たちの老後資金に影響しかねません。
子供たちにかかる教育費は、高校3年生以降に跳ね上がります。
私立文系を選択した場合、大学4年間にかかる学費は400万円。
この費用の目途を立たせたうえで、習い事や塾の費用を決めておくと大学進学時に焦らずにすむのではないでしょうか。
何を習う?習い事の選び方
子供の好きを伸ばしてあげたい、将来困らないようになど、習い事選びの基準はさまざま。
ただ費用面も重要なポイントです。習い事ごとの月謝を見てみましょう。
月謝を参考に選ぶ
人気のある水泳やサッカー、ピアノ、英会話、通信教材などの費用目安をまとめました。
主に首都圏の大手運営の教室で、小学生以下のクラスを対象としています。
月謝の目安 | その他の費用 | 安く習うには | |
水泳 | 6,000~9,000 | 水着など | 市区町村のプール講習など |
ピアノ | 7,000~10,000 | ピアノ購入費・発表会代など | 町のピアノ教室など |
サッカー | 6,000~7,000 | ユニフォームや靴・合宿費・遠征費など | 保護者運営のチームに加入する |
英会話 | 8,000~12,000 | 教材費・検定料など | オンラインレッスンを利用する |
通信教材 | 2,000~5,000 | 通信費など | タブレット教材は教科数が多い |
ピアノや英会話は、運動系よりも月謝は高め。ただサッカーは、合宿や遠征があるスクールだと月謝以外の費用がかさみます。
ピアノ教室は、ピアノ購入の必要性や発表会参加の有無など、教室の方針によりさまざまです。また、送迎などで金銭面以外での負担が生じることも。
習い事を選ぶ際には、月謝以外の要素も含めて検討しましょう。
習い事以外の選択肢を探る
習い事に通うと、月謝は毎月の固定費として家計にのしかかります。
また、始めるときに初期費用がかかることや、子供が続けて通えるかが悩ましいところ。
これらの費用を抑えるには、本当に習い事として通わなければできないか、他の方法を探してみるのも1つの手です。
水泳は公営のプールや水泳教室に通う、塾に通わず通信やオンライン教材で親がサポートする、英会話はオンライン英会話から始めてみるなど、まずは費用がかからない方法で試してみてはいかがでしょうか。
子供が楽しめるか、熱中できるか、やってみないとわかりませんよね。
小さいうちは特に、やりたいと言ったものの、すぐに他のものに気が移ることもよくあるもの。
親がサポートできないものか、自治体主催のものがないか、定期的に通う以外の方法はないか、なども探してみるとよいかもしれません。
やめるのは悪いこと?
本人の興味に合わせて習い事を始めたとしても「行きたくない」「やめたい」と子供が言い出すことはよくあります。そんな時、「諦めグセがつくのでは」と、つい厳しく注意し、続けさせようとすることもあるかもしれません。
しかし、子供の興味・関心は成長とともに変わっていくもの。本当に合わなくてやめたいのか、気分が一時的に沈んでいるだけなのか、焦らずにじっくり向き合ってあげることが大事です。
もし「やめたい」と言った時は、いつまで続けるか決めて「やる気を見極める猶予期間」とするのもひとつの方法。期日が来ても、やる気が復活しないようなら「合っていない」と見切りをつけやすくなります。
また、親が「習い事をやめることは、悪いことではない」と思っておくことも大事です。やめると聞くと、ついマイナスイメージを持ってしまいますが、次に進むための1つのステップとも捉えられます。やめる時は、「がんばったね」とほめてあげることで、すっきりと気分を切り替えるきっかけになりますよ。
楽しく習い事を続けるコツは?
「続く、続かないは本人次第」という考え方もありますが、親にもできることはあります。例えば、習い事をかけもちしすぎないこと。勉強系の習い事は宿題が出ることも多いので、机に向かう時間が増え、子供がストレスに感じてしまうこともあります。
また、一つひとつの練習に十分に時間が取れず、なかなか上達できなくて嫌になってしまうことも。習い事の数は、子供がそれぞれにしっかりと集中できる範囲にするのが良いでしょう。
また、親が上達を焦って口出ししすぎないことも重要です。
習い事を続けるために大切なのは、子供が「楽しいから好き!」「もっとうまくなりたい!」という気持ちを自らもつことです。できないことを厳しく言われ続けては、せっかくの興味の芽もしおれていまいます。
結果に一喜一憂して、過剰にほめすぎたり残念がったりせず、うまくできたら「よかったね!」と一緒に喜んであげましょう。決してコントロールしようとせず、子供の感情に寄り添ってあげることが、自主的な意欲を育むことにつながるはずです。
まとめ
今回は、小学生以下の習い事代や続けるコツなどをご紹介しました。パパ・ママ世代が子供の頃よりも習い事の選択肢も豊富になり、自分の子供にはいろいろ経験させてあげたいと思いますよね。習い事を始めるときには、お金の面を含めさまざまな可能性や選択肢を視野に入れて検討することが、将来のためになっていくはずですよ。
参考
平成30年度子供の学習費調査/文部科学省
21世紀出生児縦断調査(平成22年出生児)/文部科学省
2020年 習い事調査/アクトインディ株式会社
令和2年度「教育費負担の実態調査結果」/日本政策金融公庫
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